2019年3月16日土曜日

青雲はるかに


青雲はるかに【上・下】
宮城谷昌光 著


1997年11月15日 第一刷発行

後に中国を統一する始皇帝が現れる数代前、戦国時代の有力国の1つだった秦で活躍した范雎(はんしょ)の半生を書いた本である。流れとしては優秀で志のある青年が、散々苦労して最終的に秦に辿り着き、重用されるという話である。

一飯の徳も必ず償い、睚眦(がいさい)の恨みも必ず報ゆ

たった一ぱいの飯の恩もかならず償い、ひとにらみされただけの恨みでもかならず報復した」という人で、この本はある意味で「嵐が丘」のような復讐の物語である。若いうちに禍根を残すようなかなり理不尽な扱いを受けるのだが、本としてはその苦労がある上巻の方が面白かった。上巻は市井に住み隠れ、下巻の方は偉くなってからの戦争と政治の話が多くなる。

司馬遷の「史記」に彼の列伝があるらしい。それがどういう話なのかはわからないが、この本ではとにかくこの人は女にもてる。立て続けに女の人と出会って行くので、最終的にどういう落とし前をつけるのか不思議だった。一応はまとまりはついているが、その面ではやや消化不良な感じもないでもなかった。

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