2019年3月10日日曜日

夜の橋


夜の橋
藤沢周平 著


2011年7月10日 第1刷

藤沢周平の短編集。この本自体は新しいが、単行本としては昭和56年2月に出たもので、中の作品は昭和50年〜53年に雑誌に掲載されたもの。冒頭に「編集部より」という注意書きがあって、差別的表現云々は原文のままにしたという理が書いてあった。

この本には9話収められているが、町方が主役のものが5、武家が4。話自体は古いが、印刷というか本は新しいので、本来あり得ないことだがなんとなくギャップを感じた。古い印刷で古くなった本というのはそれなりに迫力をもたらしてくれる。

中の「泣くな、けい」という話は、隠し剣シリーズの「鬼の爪」の原型かとも思えるような話だが、ざっと調べた所ほぼ同時期で「泣くな、けい」の方が後かもしれない。やや唐突な感じはするものの、思いがけない展開で面白かった。

この本に限らないが、未読の藤沢周平の本が手元にあると寝不足の原因になる。寝る前に少し読もうかと思うと、結局止められなくなって最後まで読んでしまう。この本は短編なのでまだましな方。同じ値段で本を2冊買った場合、面白すぎて一瞬で読み終わってしまうものと、難しくて読み進められずに何ヶ月もかかってやっと読み終える場合と、どっちがお得なんだろうとかどうでも良いことを考えていた。

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