日本語を書く作法読む作法
阿刀田高 著
2008年1月5日 第1刷発行
阿刀田高のエッセー集。色々な媒体に書いたものを寄せ集めたようになっていて、本人も「あとがき」に書いているが、文体も長さもまちまちの話が羅列されている。一応表題の題意には沿って日本語そのものとそれを書く作家たちの話が中心である。技術的な話が書いてあるわけではない。
読みやすい本だが、全体としてまとまりは薄いように思った。役に立ちそうだと思ったのは、古典というか、近代の作家や作品の紹介で、いくつか興味を惹くものが紹介されていた。「十二人の作家から」ということで紹介されているのが、夏目漱石、芥川龍之介、中島敦、志賀直哉、谷崎潤一郎、井上靖、中勘助、松本清張、半村良、井上ひさし、三浦哲郎、阿刀田高、ということで紹介されなくても知ってるよという感じではあるが、じゃあ全員読んだことがあるのかというと全然そんなことはないので今後に役立てたい。
海外ミステリーのおすすめはヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」だそうだ。基本に忠実なミステリーなのだそう。それだけに
しかし、推理小説を読み慣れた人なら、
「最初の二十ページを読んで犯人がわかったな」
という意見があり、これも充分に頷ける。
ヴァン・ダインは何冊か読んだことがあるが、あらすじを見る限りこれは読んでいないと思う。とりあえず最初の20ページだけでも読んでみなければならない。
この本の中で阿刀田高は「短編と心中する」と何度も決意を述べている。上に挙げている作家12人も短編が(も)上手い人という基準で挙げていて、強いこだわりが感じられた。
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