2019年4月11日木曜日

アインシュタインの宿題


アインシュタインの宿題
福江純 著


2000年8月5日 第一刷発行

出版年が古くて、物理学の世界はその後もいろいろ進化しているのだろうが、とりあえずアインシュタインの話に古いも何もないだろうということで読んだ。著者の肩書は天文学者でSFやアニメ好きとしても知られている人だそう。この本の中でもブラックホールについての説明が詳しく特に面白かった。思いがけずタイムリーな読書になった。

途中漫画(あまり内容理解には関係ない感じだけど)なども挟み、わかりやすくというかとっつきやすくしようとした工夫が見られる本だったが、内容はそれなりに高度だと思う。数式の類は出ては来るが多くなかった。縦書きの本で数式が出てくると横向きに書かれている(数式のために本を横にして見ることになる)。他にもこういう本は多いし、本のスペースとして効率的なのはわかるが、普通に数式を横向きに置いたほうが読みやすいということはないものだろうか。空間が多くなりすぎて読みにくくなるのかもしれない。

物理学の本を続けて読んでいるが、今の所挫折したとも思わないものの、何かを掴んだとも思えない。それでも特に同じ部分の話をいくつも読んでいると何か見えてきそうな気はする。まあ試験があるわけじゃないし、趣味としてはこれで良いだろう。とはいえ、もともと自分は学生時代もこんな感じで勉強してきたのだけど。

自然や宇宙の投げかける問題には、正答は存在しないし、そもそも問題自体が自然の表象の背後に隠されている(これこそがアインシュタインをして、「神は老獪だが、悪意はない」と言わしめたわけである)。

著者は最後に物理学を人間関係に例えている。人間関係は複雑で正答はないし、自然界よりも独自のルールがそれぞれにあるので難しい。いずれすべて理解できることはありえないのだ。

しかし、人間はかくも多様で複雑なのだから、たとえ近似的にさえ、ルール(尺度)が近い人間に出会うこと、相手を多少なりとも理解できることは、それだけで充分に一つの奇跡だといえる。

人間関係は世代を経てリセットされてしまうものだろうが、物理学は先に進んで行く。それでも宿題が尽きることはないのだろう。

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