ゲーデルの世界 その生涯と論理
ジョン・L・カスティ 著
ヴェルナー・デパウリ 著
増田珠子 訳
2003年1月20日 第1刷発行
ゲーデルの人生について伝記的な部分と、ゲーデルの論理学、数学の理解、そしてそれがその後の世界にどう影響するのかという思索に頁が割かれている。全体としてはそう長い本ではない。
私が手にした本では、作者紹介というのが見つけられなかったのだが、WIkipediaによると、ジョン・L・カスティ(John L. Casti)はアメリカの作家、数学者、起業家となっていて、ヴェルナー・デパウリ(Werner DePauli-Schimanovich)はオーストリアの、数学者、コンピューター科学者、アーティストだそう。訳者の増田珠子は現在駿河台大学の教授。
論理学、数学にそこそこ踏み込んだ部分もあって正直言ってよくわからない部分もあったが、一部がわからなければ次にいけないような本ではない。後半かなり人工知能について踏み込んだ話も書かれているが、2003年当時はまだ今のような「人工知能ブーム」には突入していない時代の話。人工知能という概念がいかに古いものかということが実感される。
人工知能について「トップダウン型」「ボトムアップ型」の話が書かれていた。
トップダウン・グループのメンバーは、脳という基本的なハードウェアは、人間の知能を計算機械のなかに再現する問題とは無関係だと考えている。結果として、脳が得た結果をつかもうという試みは、脳が用いている規則を抽出して、それらの規則を符号化し、計算機械に適したかたちにすることを、中心に据えている。
ボトムアップ派は、私たち独特の人間型の脳が物理的にどう構成されているかが、もしかすると私たちの認知能力にとって決定的な役割を果たしているのかもしれないのだ、と主張している。
…
この物理的構造に敬意を払わずに、認知ー人間型のものーを機械でとらえるのは不可能だ
大雑把に言うと、トップダウンの方は所謂特化型人工知能を積み重ねていくイメージで、ボトムアップの方は最初から人間の脳を模して汎用人工知能を目指すという話に読める。なんとなく第一感としては逆の印象があったのは、時代のせいなのか単に自分が何か誤解しているせいなのか。
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